バドミントンのサーブには、ネット付近へ低く落とすショートサーブ、高く奥へ送るロングサーブ、低い構えから後方を狙うフリックサーブがあります。
さらに、相手の意表を突いて速く直線的に送るドライブサーブを加え、4種類に分ける考え方もあります。

それぞれは飛ぶ距離だけでなく、軌道、構え、相手に与える時間、使用する目的が異なります。
この記事では各サーブの特徴を比較し、シングルスとダブルスでどれを選べばよいかを解説します。

バドミントンのサーブは主に4種類

バドミントンのサーブは、一般にローサーブ、ハイサーブ、フリックサーブ、ドライブサーブの4種類に分類されます。
日本ではローサーブをショートサーブ、ハイサーブをロングサーブと呼ぶ場合があり、指導者や教材によって名称が異なります。

サーブの種類 主な軌道 主な目的 使われる種目
ショートサーブ ネット付近を低く通って前方へ落ちる 相手から強く攻撃されるのを防ぐ シングルス・ダブルス
ロングサーブ 高く上がってコート後方へ深く落ちる 相手を後方へ下げる 主にシングルス
フリックサーブ 低い構えから素早く上昇して後方へ向かう 前を警戒する相手の意表を突く シングルス・ダブルス
ドライブサーブ 速く直線的に後方へ向かう 反応時間を奪う 変化として使用

初心者がすべての種類を同時に覚える必要はなく、まずはショートサーブとロングサーブから始めます。
その後、低いサーブが安定した段階でフリックサーブを加えると、前後への打ち分けを試合で使えるようになります。

サーブの構えや共通する基本動作は、バドミントンのサーブ完全ガイドで解説しています。
種類ごとの違いを学ぶ前に、打点やシャトルの持ち方を確認したい人は総合記事からご覧ください。

ショートサーブ|ネット付近へ低く落とす

ショートサーブは、ネットの白帯付近を通し、相手側のショートサービスラインを越えた付近へ落とすサーブです。
ローサーブや低いサーブとも呼ばれ、シングルスとダブルスのどちらでも使用されます。

ショートサーブの目的

ショートサーブの目的は、ネットを越えたシャトルをすぐに下降させ、相手に高い打点から攻撃させないことです。
ネット付近を低く通れば、レシーバーはシャトルを下から持ち上げるか、低い位置から押し返すことになります。

特にダブルスでは、サーブ後に先に攻撃できるかどうかがラリーの展開へ大きく影響します。
相手に簡単なプッシュを打たせない低いサーブは、攻撃の主導権を渡さないための基本的な選択です。

ショートサーブの主な打ち方

ショートサーブは、バックハンドとフォアハンドのどちらからでも打てます。
ダブルスでは、体の前でシャトルとラケットを固定し、小さな動作で押し出せるバックハンドサーブが多く使われます。

ラケットを大きく振らず、コルクを狙う方向へ静かに押し出すことが基本です。
詳しいフォームは、バドミントンのショートサーブの打ち方で確認してください。

ショートサーブの注意点

サービスコートへ入っても、ネットより大幅に高い位置を通れば、相手にプッシュやネット前への強打を許します。
落下地点だけでなく、ネットを越える高さと、その後すぐ下降する軌道になっているかを確認しましょう。

反対に、低さを求めすぎてネットへかかる場合は、ラケット面をわずかに上へ向けます。
スイングを急に強くすると今度はシャトルが浮くため、面の角度と押し出す方向から調整してください。

ロングサーブ|高く奥へ飛ばす

ロングサーブは、シャトルを高く打ち上げ、相手コートの後方へ深く落とすサーブです。
ハイサーブやハイロングサーブと呼ばれることもあり、主にシングルスで相手を後方へ下げるために使います。

ロングサーブの目的

相手の頭上を十分に越える高さを出し、コート後方まで移動させることがロングサーブの目的です。
自分にはサーブ後の準備時間が生まれ、相手には後方からラリーを始めさせられます。

シャトルが高い位置から垂直に近い角度で落ちると、相手は前へ踏み込みながら強く打つことが難しくなります。
単に奥まで飛ばすだけでなく、高さと落下角度を含めて軌道を作る必要があります。

ロングサーブの主な打ち方

初心者がロングサーブを覚える場合は、フォアハンドサーブの大きなスイングを使う方法が基本です。
利き手側の足を後ろにして構え、後ろ足から前足への体重移動に合わせてラケットを前上方へ振ります。

シャトルを利き手側の斜め前方へ自然に落とし、ラケットの芯でコルクをとらえて振り抜いてください。
フォームと軌道は、バドミントンのロングサーブの打ち方で詳しく解説しています。

ロングサーブの注意点

軌道が低いロングサーブは、相手が十分な体勢でシャトルの下へ入り、スマッシュを打つ機会を与えます。
相手が腕を伸ばして途中で触れない高さを出し、コート後方へ深く落とすことが必要です。

また、シングルスとダブルスではサーブ時に使える後方の範囲が異なります。
ダブルスでは一番奥のバックバウンダリーラインではなく、その手前にあるロングサービスラインまでが有効です。

フリックサーブ|低い構えから奥へ送る

フリックサーブは、ショートサーブと同じような構えから、ラケットヘッドを短く加速させて後方へ送るサーブです。
低いサーブを予測して前へ踏み込もうとする相手の意表を突き、後方への移動を促します。

フリックサーブの目的

フリックサーブは一球で得点するだけでなく、相手に後方へのサーブも警戒させるために使います。
一度奥へ送ると、相手はショートサーブだけに集中できなくなり、前方への踏み込みが遅れることがあります。

そのため、フリックサーブを毎回打つより、ショートサーブの変化として混ぜる方法が効果的です。
相手が前へ詰めているときや、低いサーブへの反応を早めた場面を選んで使います。

フリックサーブの主な打ち方

バックハンドの構えでシャトルとラケットの間に小さな空間を作り、短いバックスイングから前上方へ打ちます。
インパクト直前に親指でグリップを押しながらほかの指を締め、ラケットヘッドを加速させてください。

腕を大きく振るとショートサーブとの違いが見え、打つ前に相手へ読まれてしまいます。
詳しい動作は、フリックサーブの打ち方・コツ・使う場面で確認できます。

フリックサーブの注意点

シャトルが相手の肩や頭付近を通ると、後ろへ移動させる前に高い打点から攻撃されます。
相手のラケットが届かない高さを確保しながら、サービスコートの後方まで届かせることが必要です。

反対に高く上げすぎると滞空時間が長くなり、相手へ後方へ移動する時間を与えます。
途中で触られない高さと、意表を突ける速度の両方を満たす軌道を目指してください。

ドライブサーブ|速く直線的に送る

ドライブサーブは、シャトルを速く直線的な軌道で相手の体や後方へ送るサーブです。
レシーバーの反応時間を奪い、ラケットを出しにくい場所へ詰まらせる目的で使われます。

フリックサーブとの違い

フリックサーブは相手のラケットが届かない高さを通して後方へ送り、後ろへ移動させるサーブです。
ドライブサーブはそれより低く速い軌道を使い、相手が反応する前に体付近や奥へ通すことを狙います。

両方とも意表を突くサーブですが、フリックは前後の移動を促し、ドライブは反応時間を奪う点が異なります。
低いサーブとロングサーブの中間がすべてフリックになるわけではなく、軌道と目的で区別してください。

ドライブサーブの注意点

ドライブサーブは軌道が低いため、相手に読まれると高い位置から速い返球を受けます。
反応の速い相手へ繰り返すほど効果が下がり、サーバー側が先に守備へ回る危険も高くなります。

また、サーブはラケットから上向きに飛び、正しいサービスコートへ入る軌道でなければなりません。
相手へ向けて打ち下ろすことはできないため、初心者はショートとフリックを安定させてから練習しましょう。

ショート・ロング・フリックサーブの違い

3種類の違いは、シャトルが落ちる場所だけではなく、どのように相手を動かしたいかにあります。
手前、奥という距離だけで選ばず、相手へ与える打点と時間を考えることが重要です。

比較項目 ショートサーブ ロングサーブ フリックサーブ
落下地点 ショートサービスライン付近 サービスコート後方 サービスコート後方
高さ ネット付近を低く通る 非常に高く上がる 相手の頭上を越える
速度 遅め 滞空時間が長い 素早く後方へ向かう
主な構え バックハンドまたはフォアハンド 主にフォアハンド 主にバックハンド
相手への効果 前方で低い打点を取らせる コート後方へ下げる 前から後ろへ急いで移動させる
主な役割 攻撃を制限する基本サーブ 後方からラリーを始めさせる ショートサーブへの警戒を弱める変化

ショートサーブとロングサーブは、ラリーをどの位置から始めさせるかを決める基本的な選択です。
フリックサーブはその中間ではなく、低いサーブを予測した相手の動きを利用する戦術的な変化と考えましょう。

バックハンドサーブとフォアハンドサーブの違い

ショート、ロング、フリックはシャトルの軌道による分類で、バックハンドとフォアハンドはラケットを振る側による分類です。
そのため、ショートサーブにはバックハンドとフォアハンドがあり、フリックサーブにも両方の打ち方があります。

比較項目 バックハンドサーブ フォアハンドサーブ
構える位置 体の前でラケットとシャトルを構える 利き手側の斜め前へシャトルを出す
スイング 小さく押し出す 体の横から前へ振る
得意な軌道 ショート、フリック ロング、ショート
主な使用場面 ダブルス、シングルス 主にシングルス

バックハンドサーブはラケットとシャトルを体の前で固定でき、振り幅も小さいため、低い軌道の調整に向いています。
フォアハンドサーブは大きなスイングと体重移動を使えるため、高く遠くへ送るロングサーブに適しています。

それぞれの詳しいフォームは、バックハンドサーブの打ち方フォアハンドサーブの打ち方で解説しています。
名称を混同した場合は、軌道の種類とラケットを振る側を分けて考えてください。

シングルスで使うサーブの種類

シングルスでは一人でコート全体を守るため、サーブ後にどの位置からラリーを始めるかが重要です。
ショートサーブとロングサーブを基本にし、相手の位置や得意なショットを見ながら使い分けます。

相手を後方へ下げるならロングサーブ

相手が後方への移動や高く落下するシャトルの処理を苦手としている場合は、ロングサーブが候補です。
高く奥へ送ることで自分には準備時間が生まれ、相手にはコート後方から返球させられます。

一方、相手が後方から強いスマッシュや正確なドロップを打てる場合は、ロングサーブだけを続けると攻撃されます。
相手の返球を確認し、ショートサーブも混ぜて前後どちらにも構えさせましょう。

ネット前から展開したいならショートサーブ

ショートサーブを使うと、相手は前方へ移動して低い位置から返球することになります。
ネットプレーを得意としている場合や、相手に後方から強打させたくない場合に選択できます。

ただし、サーブ後は前方だけでなく、相手が奥へ上げる返球にも対応しなければなりません。
打ったあとにラケットを体の前へ戻し、コート全体へ動ける準備姿勢を作ってください。

前へ詰める相手にはフリックサーブ

ショートサーブを狙って相手が前へ立ち、前足へ重心を偏らせている場合はフリックサーブが有効です。
同じ構えから頭上を越すことで、相手の動く方向を前から後ろへ切り替えさせます。

フリックを使うと後方への警戒が生まれ、次のショートサーブへの踏み込みも遅くなることがあります。
毎回使って予測させず、相手が前へ意識を向けた場面で変化として選びましょう。

ダブルスで使うサーブの種類

ダブルスでは、サーブから相手に強い下向きのショットを打たせないことが重要です。
ネット付近を低く通るショートサーブを基本とし、フリックサーブを変化として組み合わせます。

基本はショートサーブ

ダブルスのショートサーブは、相手にシャトルを持ち上げさせ、自分たちが先に攻撃する展開を作るために使います。
ネットを越えた直後に下降すれば、レシーバーが高い打点から速いリターンを打つ選択肢を減らせます。

一般的にはセンターライン寄りのストレート方向を基本にすると、シャトルの飛行距離が短くなります。
相手へ与える返球角度も抑えられるため、まず中央寄りへの低いサーブを安定させてください。

フリックサーブは変化として使う

相手がショートサーブへ早く踏み込み始めたら、同じ構えからフリックサーブを後方へ送ります。
一度見せるだけでも相手は後方を警戒し、低いサーブだけに集中できなくなります。

フリックサーブが短かったり低かったりすると、相手後衛からスマッシュを受けます。
試合で使う前に、ロングサービスライン付近まで届き、相手の途中接触を避けられる高さを練習しましょう。

ロングサーブとドライブサーブは慎重に使う

ダブルスで高いロングサーブを打つと、相手は十分な時間を使って後方へ入り、スマッシュを打てます。
また、ドライブサーブは相手に読まれた場合、その場から速い返球を受ける危険があります。

どちらも使ってはいけないわけではありませんが、基本のサーブとして連続する種類ではありません。
相手の立ち位置や反応を見たうえで、予測を外すための変化として慎重に使ってください。

初心者はどのサーブから覚える?

初心者は、すべてのサーブを同時に練習するのではなく、試合形式に合わせて優先順位を決めます。
ダブルスを中心に行うならバックハンドのショートサーブ、シングルスならフォアハンドのロングサーブから始める方法があります。

ダブルス中心ならショートサーブから始める

ダブルスでは低いサーブを使う場面が多いため、まず正しいサービスコートへ安定して入れることを目指します。
その後、ネット付近を低く通す精度を高め、同じ構えからフリックサーブを加えてください。

ショートサーブが不安定な段階でフリックを増やすと、どちらの構えと力加減も定まりません。
低い軌道を基本として確立してから、相手を後方へ動かす変化を覚えましょう。

シングルス中心ならロングサーブも練習する

シングルス初心者には、相手をコート後方へ動かし、自分の準備時間を作れるロングサーブが役立ちます。
フォアハンドサーブでシャトルを高く打ち上げ、バックバウンダリーライン付近へ落とす練習を行ってください。

ロングサーブが安定したらショートサーブも覚え、相手の得意な位置に合わせて選択します。
一種類だけを続けず、相手を前後に動かす考え方を身につけることが大切です。

ドライブサーブは基本が安定してから覚える

ドライブサーブは速い軌道で相手の反応を遅らせられる反面、少しでも読まれると強く返されます。
打ち出す角度やサービスコートの範囲を誤るとフォルトやアウトにもつながります。

初心者はショート、ロング、フリックを優先し、それぞれの高さと距離を安定させてください。
ドライブサーブは基本のサーブを試合で使えるようになったあと、変化の一つとして練習します。

相手の立ち位置に合わせたサーブの選び方

サーブの種類は、自分が打ちやすいかだけでなく、相手がどこに立ち、どちらへ重心を置いているかを見て選びます。
相手の構えから、前方と後方のどちらへの反応を優先しているかを確認してください。

相手の状態 候補になるサーブ 狙い
前へ詰めている フリックサーブ 後方への移動を促す
後方を強く警戒している ショートサーブ 前方へ動かす
高いシャトルの処理が苦手 ロングサーブ 後方から打たせる
体の近くで判断が遅れる 体付近へのショートサーブ フォアとバックの判断を迷わせる
低いサーブへ決め打ちしている フリックサーブ 前への踏み込みを利用する

一度成功した種類を繰り返すと、相手は立ち位置や準備を変えて対応します。
サーブ後の返球まで観察し、同じサーブが引き続き有効なのかを一球ごとに判断しましょう。

サーブの種類を使い分けるコツ

基本となるサーブを一つ安定させる

複数の種類を使い分けるには、まず試合で確実に入れられる基本サーブが必要です。
ダブルスならショートサーブ、シングルスならショートまたはロングサーブを基準として練習してください。

基本サーブの精度が低い状態では、相手を観察する余裕がなく、自分のミスを避けるだけの選択になります。
同じ構えから狙った範囲へ安定して入れられるようになってから、変化を追加しましょう。

相手の反応を見て次を選ぶ

ショートサーブに対して相手が大きく前へ踏み込んだなら、次はフリックサーブが候補になります。
反対にフリックを警戒して立ち位置を後ろへ変えたなら、再びショートサーブを選べます。

事前に「三本目はフリック」と固定するのではなく、相手の立ち位置と重心を見て判断してください。
サーブの使い分けは種類の多さではなく、相手の準備と反対の場所へ動かすことに意味があります。

フォームから種類を読ませない

ショートサーブとフリックサーブでは、インパクト直前まで足、ラケット、シャトルの位置をそろえます。
フリックだけラケットを大きく引いたり、強く握ったりすると、相手は軌道を見る前に後方へ下がれます。

低いサーブとの違いは、インパクト直前の指の握り込みとラケットヘッドの方向で作ってください。
練習方法は、初心者でも一人でできるサーブ練習メニューで紹介しています。

サーブの種類にかかわらず守る基本ルール

どの種類のサーブでも、打つ瞬間にはシャトル全体がコート面から1.15メートル未満でなければなりません。
ラケットは最初にシャトルのコルク部分へ当て、シャトルが上向きに飛んで対角線上のサービスコートへ入るように打ちます。

サーバーとレシーバーはサービスコートのラインへ触れず、サーブが完了するまで両足の一部を床につけておきます。
ラケットを前へ動かし始めたあとに途中で止めたり、空振りしたりした場合もフォルトになります。

サーブの種類を増やす前に、共通する規定とシングルス・ダブルスのサービス範囲を確認してください。
詳しい内容は、バドミントンのサーブルールで解説しています。

まとめ

バドミントンのサーブは、ショート、ロング、フリック、ドライブの4種類に分けられます。
ショートは相手の攻撃を制限し、ロングは後方へ下げ、フリックは低いサーブを待つ相手の意表を突くサーブです。

初心者はダブルスならショート、シングルスならショートとロングを優先し、安定してからフリックを加えてください。
種類を増やすことだけを目的にせず、相手の立ち位置と反応を見て、前後どちらへ動かしたいかを基準に選びましょう。