バドミントンでは、フォアハンドとバックハンドで、ラケット面を支える指の位置が変わります。
一つの握り方へ固定したまま打つと、シャトルへ面が向かず、力も狙った方向へ伝わりません。

握り替えの基本は、ラケットを持ち上げて握り直すのではなく、指の力を緩めてグリップを回すことです。
移動しながらラケット面を作り、シャトルを打つ直前に指を握って固定します。

この記事では、フォアハンドとバックハンドを切り替える方法、タイミング、指の使い方を解説します。
握り替えが間に合わない人でも段階的に覚えられるように、シャトルを使わない練習から紹介します。

フォアハンドとバックハンドは握り方が異なる

フォアハンドでは、親指と人差し指の間にV字を作り、グリップの斜めの面へ指を添えます。
バックハンドでは、打点に合わせてラケットを回し、親指で広い面または斜めの面を支えます。

握り方 指の基本位置 主に使う場面
フォアハンドグリップ 親指と人差し指の間にV字を作る ラケット側の体の横や頭上
バックハンドのサムグリップ 親指をグリップの広い面へ添える 体の前やネット前のバック側
バックハンドの中間的な握り 親指をグリップの斜めの面へずらす 体の横や頭上のバック側

バックハンドだからといって、すべての打点で親指を広い面へ固定するわけではありません。
シャトルが体の横や後方へ移るほど、前腕を回せるように親指の位置を斜めの面へずらします。

それぞれの握り方を先に確認したい人は、バドミントンラケットの正しい握り方をご覧ください。
フォアハンドグリップとバックハンドグリップの指の位置を、初心者向けに解説しています。

握り替えは指の力を緩めてラケットを回す

フォアハンドとバックハンドを切り替えるときは、最初にグリップを握る力を緩めます。
親指と人差し指でラケットを支えながら、残りの指を緩め、グリップを指の中で少し回してください。

目的の握りになったら、親指と人差し指でラケット面を整え、残りの指をグリップへ添えます。
構えている間は軽く持ち、シャトルを打つ直前に握ることで、ラケット面とヘッドの動きを安定させます。

緩める・指の中で回す・面を合わせる・打つ瞬間に握るという4段階が、グリップチェンジの基本です。
持ち手全体をグリップから離したり、手のひらの中で何周も回したりする必要はありません。

動画でフォアとバックの握り替え方を確認

握り替えでは、ラケットと手のひらの間に適度な隙間を作り、指を使ってグリップを動かすことが重要です。
次の動画では、有田圭一さんがフォアハンドとバックハンドを滑らかに切り替える方法を実演しています。

動画を見るときは、完成した握りの形だけでなく、握り替える際に手のひらへどの程度の隙間を作っているかにも注目してください。
ラケットを強く握り続けず、指の中でグリップを動かす感覚を確かめると、フォアとバックを切り替える動作を理解できます。

親指と人差し指でラケットを支える

握り替えの中心になるのは、ラケットの向きを調整する親指と人差し指です。
この2本でグリップが落ちないように支えながら、中指・薬指・小指の力を緩めます。

親指と人差し指まで完全に離すと、ラケットが手の中で大きく動き、切り替えたあとの面が安定しません。
ラケットを支える力は残しながら、回転を妨げない程度まで握る力を弱めてください。

中指・薬指・小指で回転を助ける

グリップを回すときは、親指と人差し指だけでラケットをひねるのではありません。
中指・薬指・小指をわずかに開閉し、グリップを手の中で送るように動かします。

フォアからバックへ切り替えたあとは、残りの指を再びグリップへ添え、ラケットを支えます。
インパクト直前には親指と残りの指を握り、ラケットヘッドへ力を伝えてください。

手首ではなく指でラケット面を変える

ラケット面の向きを変えるために手首だけを曲げると、握り方は変わらず、打てる範囲も狭いままです。
さらに、打点へ合わせて手首を大きく曲げるため、ラケット面が安定せず、手首への負担も増えます。

グリップチェンジでは、最初に指の中でラケットを回し、その後に前腕を動かして面をシャトルへ向けます。
握り方と腕の動きを分けて考え、手首だけで無理に面を作らないことが大切です。

握り替えは打点へ移動している間に行う

フォアハンドとバックハンドの切り替えは、シャトルがラケットへ届いてから行うものではありません。
相手の打球方向を判断したら、打点へ移動しながら握りを変え、到着までにラケット面を準備します。

シャトルへ到着したあとに持ち直すと、スイングを始める時間がなくなり、打点が体の後ろへずれます。
方向を判断する・移動する・握り替えるという動作を、ほぼ同時に行う必要があります。

準備姿勢ではラケットを軽く持つ

準備姿勢では、足を肩幅より少し広めに開き、膝と股関節を軽く曲げます。
ラケットは胸の前あたりに置き、フォア側とバック側のどちらへも動かせる状態で待ってください。

準備姿勢から強く握っていると、相手の打球方向が分かっても、すぐにグリップを回せません。
ラケットが落ちない程度の力で支え、指を開閉できる余裕を残しておきましょう。

構え方に不安がある人は、バドミントンの基本姿勢とは?正しい構え方を解説も参考にしてください。
足幅、重心、ラケットの位置など、どの方向にも動ける準備姿勢を詳しく説明しています。

相手のインパクト後に打球方向を判断する

相手がシャトルを打つ前からフォアまたはバックへ決めつけると、逆方向へ打たれたときに握り替えが遅れます。
相手のインパクトを見て、シャトルの方向と高さを判断してから、必要なグリップへ切り替えてください。

相手が打つ瞬間には、スプリットステップと呼ばれる小さな踏み込みを行います。
着地後に必要な方向へ一歩目を出しながら、指の力を緩めてラケット面を作りましょう。

打つ直前に握ってラケット面を固定する

握り替えたあとも指を緩めたまま打つと、インパクトでラケット面が動き、シャトルの方向が安定しません。
打点へ到着して面を合わせたら、シャトルを打つ直前に指を握ってラケットを固定します。

ただし、構えた段階から強く握るのではなく、インパクトへ近づく短い時間だけ力を加えます。
打ったあとは再び力を緩め、次のショットへ向けて、新しい握りへ変更できる状態へ戻してください。

フォアハンドへ切り替える手順

バックハンドグリップからフォアハンドへ切り替えるときは、広い面へ置いた親指を斜めの面へ戻します。
同時に人差し指を中指から少し離し、親指と人差し指の間へV字を作ってください。

  1. グリップを握る力を緩める
  2. 親指と人差し指でラケットを支える
  3. 指の中でグリップを少し回す
  4. 親指を広い面から斜めの面へ移す
  5. 親指と人差し指の間にV字を作る
  6. フォア側へラケット面を向ける
  7. 打つ直前に残りの指を握る

切り替えたあとは、ラケット側の体の横に、腕とラケットを動かせる空間を作ります。
体の正面で窮屈に打たず、ラケット側の足を動かして、フォアハンドの打点へ移動してください。

フォア側のフォームと打点は、バドミントンのフォアハンドの握り方と打ち方で詳しく解説しています。
体の横、頭上、低い位置に分けて、握り方とスイングの違いを確認できます。

バックハンドへ切り替える手順

フォアハンドからバックハンドへ切り替えるときは、打点に合わせて親指の位置を変えます。
体の前で打つ場合は広い面へ添え、体の横では前腕を回せるように斜めの面へ置いてください。

  1. フォアハンドグリップを緩める
  2. 親指と人差し指でラケットを支える
  3. 指の中でグリップを少し回す
  4. 体の前なら親指を広い面へ添える
  5. 体の横なら親指を斜めの面へずらす
  6. バック側へラケット面を向ける
  7. 打つ直前に親指と残りの指で握る

バックハンドだからといって、親指を常に広い面へ置くわけではありません。
シャトルの高さや体からの距離を見て、ラケット面と前腕の動きを妨げない位置へ調整します。

バック側の打点と親指の使い方は、バドミントンのバックハンドの握り方と打ち方で確認してください。
体の前、ネット前、体の横、頭上に分けて、フォームと握り方を解説しています。

グリップチェンジが必要になる主な場面

握り替えは、フォア側とバック側へ交互にシャトルが来たときだけ必要になる技術ではありません。
同じバック側でも打点の位置が変われば、親指の位置とラケット面を調整する必要があります。

場面 基本となる切り替え 意識するポイント
フォア側の体の横 フォアハンドグリップ 親指と人差し指の間にV字を作る
体の前のバック側 サムグリップ 親指で広い面を支える
体の横のバック側 中間的なバックハンドグリップ 親指を斜めの面へずらす
ネット前の左右 フォアとバックを細かく切り替える ラケットを高く保ち、指で面を変える
ドライブの打ち合い 短時間でフォアとバックを切り替える テイクバックを小さくする
スマッシュレシーブ バックハンドを中心に必要に応じて変更 体の前で早く面を作る

速いラリーでは、ラケットを握り直す時間がないため、指の中で小さく回して面を変えます。
特にダブルスのドライブや前衛では、握り替えの速さが返球の速さとコントロールへ直接影響します。

握り替えが遅れる原因と改善方法

グリップチェンジが間に合わない場合は、手の速さだけでなく、準備姿勢や打球方向の判断も確認してください。
強く握っている、ラケットが下がっている、握り替えを始める時期が遅いなど、複数の原因が考えられます。

起きている問題 主な原因 改善方法
グリップが回らない 手のひら全体で強く握っている 親指と人差し指で支え、残りの指を緩める
握り替えたあとに面がずれる ラケットを大きく回しすぎている 必要な角度だけ指の中で回す
シャトルへ間に合わない 打点へ到着してから握り替えている 移動しながらラケット面を作る
手首が窮屈になる 握り方を変えず手首で面を作っている 先にグリップを回してから前腕を動かす
ラケットを落とす すべての指を同時に離している 親指と人差し指でラケットを支え続ける
次の握り替えが遅れる 打ったあとも強く握り続けている インパクト後に指の力を緩める

肩や前腕がすぐに疲れる人は、構えている間からグリップへ力が入っている可能性があります。
バドミントンで力を抜くコツも確認し、握る時間と緩める時間を分けてください。

フォアとバックの切り替えを覚える練習方法

握り替えの練習は、速さを求める前に、毎回正しい指の位置へ切り替えられることを目標にします。
ラケットだけの練習から始め、シャトル、移動、ラリーの順に条件を増やしてください。

ラケットを見ながら交互に切り替える

ラケットを胸の前へ構え、フォアハンドグリップとサムグリップを交互に作ります。
親指と人差し指で支え、残りの指を緩めて、グリップを少しずつ回してください。

フォアではV字、バックでは親指が広い面へ来ているか、一回ごとに確認します。
10回続けて正しい位置へ切り替えられたら、ラケットを見ないで同じ動作を行いましょう。

ラケットヘッドで8の字を描く

ラケットを体の前へ構え、ヘッドで横向きの8の字を描くように動かします。
フォア側では基本グリップ、バック側ではサムグリップへ切り替え、面の向きを確認してください。

手首だけで8の字を描かず、指で握りを変えながら、前腕の動きを組み合わせます。
最初は小さくゆっくり動かし、肩や肘へ余分な力が入っていないか確認しましょう。

シャトルを交互の面で打ち上げる

ラケットのフォア面とバック面を交互に使い、シャトルを真上へ軽く打ち上げます。
一回打つごとに指の中でグリップを回し、次に使う面を上へ向けてください。

シャトルが左右へ大きくずれる場合は、握り替えたあとのラケット面が傾いています。
高く打ち上げることより、中央へ当てることと、面の向きをそろえることを優先しましょう。

手投げでフォアとバックを交互に打つ

練習相手にフォア側とバック側へ交互にシャトルを投げてもらい、軽いスイングで返します。
投げる方向を見てから、移動しながら握りを切り替え、打点へ到着するまでに面を準備してください。

交互の球で安定したら、投げる方向をランダムに変え、判断を加えた練習へ進みます。
打ったあとは毎回ラケットを体の前へ戻し、準備姿勢から次の握り替えを始めましょう。

ドライブで素早く切り替える

近い距離でドライブを打ち合い、体の前へ来た球をフォア面とバック面で返します。
テイクバックを小さくし、打ったあとに指を緩め、次の球へ合わせてラケット面を変えてください。

最初から速い球で行うと、握り替えを省いて手首だけで返す動作になってしまいます。
ゆっくりした球から始め、正しいグリップと面を保てる範囲で、少しずつ速度を上げましょう。

握り替えに関するよくある質問

準備姿勢ではフォアとバックのどちらで握りますか?

準備姿勢では、フォアハンドの基本グリップを基準に、指へ余裕を残して軽く持ちます。
ただし、フォアへ固定するのではなく、相手の打球に合わせてすぐに回せる状態を保ってください。

スマッシュレシーブなどバックハンドで処理する可能性が高い場面では、親指を斜めの面へ寄せて待つ場合もあります。
常に同じ握りで構えるのではなく、相手の体勢と自分の位置に合わせて準備します。

握り替えるときにラケットは何度回しますか?

グリップを回す角度は、シャトルの位置とラケット面の向きによって変わるため、一定ではありません。
決められた角度を覚えるより、ラケット面がシャトルと打ちたい方向へ向く位置を基準にしてください。

ラケットを大きく一周させる必要はなく、フォアとバックの指の位置へ変わる範囲だけ回します。
鏡や動画でラケット面を確認しながら、最小限の動作で切り替えられる位置を覚えましょう。

握り替えが速ければ正しくできていますか?

速く切り替えられても、親指の位置やラケット面がずれていれば、正しいグリップチェンジとはいえません。
最初は速度を落とし、毎回同じ位置へ切り替えられることを優先してください。

正確に切り替えられるようになったら、シャトルや移動を加え、実際のラリーに近い速度へ上げます。
速さは正しい動作を繰り返した結果として身につけるもので、最初から急ぐ必要はありません。

握り替えは移動中に指の中で行おう

フォアハンドとバックハンドの切り替えでは、グリップを握る力を緩め、指の中でラケットを回します。
ラケットを持ち上げて握り直したり、手首だけで面の向きを変えたりしないことが大切です。

相手の打球方向を判断したら、打点へ移動しながらグリップを切り替え、到着までにラケット面を作ります。
シャトルを打つ直前に指を握り、インパクト後は再び緩めて、次の握り替えへ備えてください。

最初はラケットだけでゆっくり練習し、正確に切り替えられたら、シャトルと移動を加えます。
フォアとバックのどちらでも無理なく打てるようになると、ラリー中に対応できる範囲が広がります。

次は、グリップチェンジを含む動作の土台となる準備姿勢を確認しましょう。
バドミントンの基本姿勢とは?正しい構え方を解説では、足幅、重心、ラケットの位置を詳しく解説します。